小倉道中記 1
平成18年6月10日、長薬同窓会総会が北九州市小倉で開催されました。
夫婦で参加することになりまして、そのときの道中を記してみました。

北九州で総会が開催されることを知ってから、夫婦で参加するのを楽しみに待っていました。
参加申し込みを送ったのですが、宿をどうしようかと思案します。予約状況をWebで検索したのですが、小倉ステーションホテル、10日は満床状態。
近くのビジネスホテルにメールで申し込みましたが返事がなしのつぶて。仕方なく、電話で確認しましたところ、
「昨日メールで御案内いたしましたが。」と若い女性がそうおっしゃる。「連絡が無いので電話したんだよ。」と、心で叫ぶ。
「まあ、ちょっとしたミスがあったのでしょう。で、予約のほうは?橋本ですが、ツインの部屋を…。」

「はい、生憎満室で、ダブルではいかがでしょう?」とおっしゃる。「狭いなー。」、と思いましたが、出発まで日数がなく、即決で予約した次第です。
友人の平田に、はがきで参加する旨を事前に連絡していましたが、電話がありません。「彼は忙しくて参加できないのかな?地元なのに。」

後で、判明しましたが、携帯にかけたのだそうで、私の携帯は買い替え時に番号を変更してしまっていました。「悪い、悪い。連絡していなかった。」と誤った次第。年を取ったのか忘れっぽくなってしまって。
迷惑電話が多くて、困り果てた挙げ句のことでした。

一畑電鉄「雲州平田駅」
左方向が上り、右方向が下りです。

6月10日午前。
自宅からJR出雲市駅まで電車で行きます。電車はチョウ・ローカル線で、西武鉄道の中古電車が走っています。20分かけて到着。
一畑電車に乗るのは何年ぶりか。出雲大社の初詣や飲み会がある会議の折に使っていましたが…。ここ最近、飲み会には一切出席していませんでした。そう、あれはビールをコップ3杯飲んで、救急車で運ばれた時から。もう、6年にもなるんだなー。
そんなことを家内と話しながら周りの景色を見渡します。車からは見えない風景が映り、新鮮な気分。家の庭先まで見渡せる場所もあります。
線路脇に新たなビルディングが建ち、田舎にも近代化の波が遅ればせながらやって来たようです…。
電車には生活観が漂っています。それはバスや車には無い、懐かしさを醸し出し、同窓会に出席するにはもってこいの乗り物でした。「この分では鉄道も同じような気分を味わえるかも、…。」と心が高鳴る気配さえ感じます。

スーパーおき3号で新山口へ。特急といっても2両編制で、とても特急列車とは思えません。朝夕の通勤列車は、3両4両編成では?一畑電車も普通は2両編成なのですから。
途中、結構な数の乗客が乗車します。入れ替わりに指定席車両の2/3は埋まっていました。
前の車両が自由席で後ろが指定席。指定席車両は禁煙車両で、自由席の後方部分に喫煙コーナーが設置してありました。
私は禁煙を毎年神に誓うのですが(一人ナイショで、新年に当たりの目標としてですが…)、直ぐに翌年からと妥協してしまう性格。意思が固い性格か?融通性に富んだ人間か?「…タバコは捨てがたい!」
検札に車掌が来ます。
「山陰本線経由で九州までの列車はなくなったの?」
「益田から下関行きの特急はありますが、出雲からは山口線経由のみです。」
「昔は急行さんべがあったよね。あれは、益田で別れて下関でまた一緒になって、日本海を見たいときには便利だったよ。ん…、登り列車だけだったかも?」
「そうでしたね。既に急行さんべはなくなってしまいました。…ありがとうございました。」
と、去って行きました。
車両の出入口で深々とお辞儀をします。何時から、こんなに丁寧になったのだろうか?JRに民営化されてから?
改札やみどりの窓口には女性駅員が多く見られます。堅苦しかった時代からソフトタッチの時代へ。私はサービスの接客部門は男性よりも女性の方が向いていると思います。人命に関わる部門はどうなのかな?
企業が考えることだから、余計なことは言わない、言わない。

 JR出雲市駅

「新山口って小郡のことだよね?市町村合併で駅の名称が変わったとか?」
「そうかもね。平田市が出雲市と合併し、平田市駅が雲州平田駅に変更したけど。…だから、そうなんじゃない?」
「ふーん。ところでさー。国鉄が民営化されて、職員の態度は良くなったけど、風景の説明がないじゃない?昔は車内放送で名所旧跡の解説があったけどなー。」
「そう言えば、無いですね。あれって、出雲弁で喋られると嬉しかったものですよ。」
「そうかい?私はまったく理解できなかったけどね。異国の言葉だったけど…。今じゃ、少しは変な出雲弁を喋っているんだもんなー。…制服に名札を付けているけど、飛行機みたいに、運転手が誰で、車掌が誰って言わないよね。どうしてなんだろう。乱暴な運転をしたのが誰だか、直ぐに分かって、事故が減るんじゃないのかな?」
「分からないから安心なのかも?以前に事故を起こした運転手だと分かったら、皆直ぐに下車したりして。」
「違うだろう?運転手の人格を認めないで、道具・機械の一部だと判断しているから無理な運転がおこるんだよ。だから、機械の一部の名前は公表しないんだよ!」
「それって、福知山の事故のこと?」
「鉄道事故の全てさ!」
1時間くらい経ちましたので喫煙の時間…、前の車両の喫煙ルームへ向かいます。
時速80kmくらいのスピードで走ります。通路を歩くのが少し怖い。お年寄りには、危険な横揺れです。
昔はもっとノンビリしたものだったような気がします。少しくらい遅れても、次の列車が待っていたように思います。時刻を守るのがノルマで、事故が起こり易い体質になったのでは?JRって。

「こうやって、列車で九州に二人で向かうのは、何年ぶりかい、ねー?」
「んー、そうねー。結婚式以来でしょう!」
「そうだね。29年ぶりかー!その時以来、…車だった訳だ。飛行機も何回かあったけど。」「あの時は、見送りに来た姪が乗り込んでしまって。…発車のベルがなったので慌てて、窓から出したんでしたね。うふふ…。」
「そうだったなー。あの由紀ちゃんも、今は二児のお母さんだもんなー。」
何気なく窓下を見ていると、ソムニフェルムの花を一瞬見たような気がしました。
長い習慣で、この時期になると鷹の目のように遠くからでも、一瞬の間にケシの花を見分ける技術を見につけてしまいました。
イメージで画像を捕らえ、記憶の中の花と重なります。そうしたら、ほとんどが間違いなく、ソムニフェルムかセティゲルムでした。公用車で不正ケシのパトロールをしていたときの話しです。
でも、退職してしまった今はそんな気がしたということにしておかないと。迷惑をかけることになるかも?自分自身が確認する訳にはいかないのだから…。
家内に話すと気分を害してしまうでしょう。一般の人は判別出来ないのですから…、私も普通の人に成りきることが必要です。

益田に近づくと海の色が明るい青色に変わってきたように感じます。生まれ故郷に近づくので、心が晴れ晴れとしてきたのか?同窓会で知人に会える楽しみのため?いや、単に南に向かったためでしょう。
そのうち、太鼓谷稲荷の朱色鳥居が鮮やかに目に付きます。津和野を通り過ぎたようです。
谷間に差し掛かり、ハナミズキの花びら目に焼きつきます。流れるような深緑の中に見える白色の斑点。美しく感じますが、…マタタビの裏白なのかもしれません。
自信が無い。歳のせいか自信がぐらつくと、数時間前のソムニフェルムも見間違いかな?と、不安になってしまいます。速度のせいかしっかり見分けることが出来ません。「歳を重ねるにつれ視力の衰えは避けて通れないものだなー。」
そんなことを考えているうちに、県境を越えていました。

 新幹線新山口駅

新山口で下車、新幹線に乗り込みます。改札には女性の職員。
「良いよなー。女性の方がソフトだし。」
「違うでしょ!若い女性だからでしょ?」
「そんなことない!」
「そうだよ。学園もののドラマを見ると、若い娘のファンに直ぐなるじゃないの。」
「お前さんだって。…ジャニーズ系好きじゃないか。」
「まあ、お互い様ってことで…。」
エスカレーターで新幹線ホームへ。
予定の場所に向かい、電車の停車位置を確認します。
「先頭車両は喫煙OKだってサ。嬉しいねー。まだ、喫煙者への配慮があるなんて。」
「後ろ!後ろ!」
「え?」
見ると、後ろに喫煙コーナーがありました。
「good!ギリギリまで喫煙して、乗り込めて、…それに喫煙車両って訳―!(イカしてるよ!JRさん)…。」
そこへやって来たのは各駅停車のこだま号。
「へぇー。4両編制じゃない!こりゃ、通勤用だね」
「そうかもよ。島根の田舎と違って、高速道路を利用した通勤があたり前みたいだから。都会では。…新幹線もあって当然よ。」
「これも、民営化の影響だね!」

「ところでサー、平田は参加するかねー?」
「サーどうかなー。連絡無かったんでしょ?良いじゃない。知り合いは誰か居ますよ。きっと。」
「そうだと嬉しいね…。北九州には卒業生が多いみたいだからね。誰か、参加してくれているよ。支部には参加者の名簿が送ってあると思うから。」
「それよりも、予約したホテル大丈夫かなー。電話だけで住所は聞かれなかったでしょう?」
「電話番号で住所は分かるからねー。…ビジネスだから簡単じゃないの?…でも、こんなことって、初めてだよなー。」
「いい部屋は期待出来ないかもね!」
「いいじゃないの。泊まれれば。泊るだけだし、スウィートなんて必要ないよ。あれって、嫌いだし。」
「私は、狭くて汚い部屋はイヤ。」
「…。」
新幹線はすごいスピードです。途中の停車駅で16編制のひかりが追い越します。すれ違う瞬間、地震でも起きたような衝撃波が襲います。
小倉にとっくに着いてしまうような時間、後続列車の待ち合わせで停車しますが、これが各駅停車の新幹線の特徴か?これは、…新規格レールを走る普通通勤列車です。
「土産は二つでよかったの?」
「良いさ。誰にって、決められないし。事務局と平田に、…予定なんだから。」
「そうね。気持ちだし。」
「そうそう。参加することに意義があるんだから、サー。」

 新幹線ひかり号
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